室礼 [新潟市内散策]
斉藤家の羽子板の展示があるというので、雪のなか、砂丘館へ出かけました。
羽子板はともかく、二階の客間の床の間を飾る室礼に気が引かれてしまいました。
「室礼」とはなじみのない言葉です。
「しつれい」ではなく、「しつらい」と読むのだそうです。
帰宅して調べてみますと、広辞苑(第6版)は次のように説明しています。
「請客饗宴・移転・女御入内その他、晴れの儀式の日に寝殿の母屋および廂に調度類を整えること」また「飾りつけること」として竹取物語の「うちうちのしつらひには、いふべくもあらぬ綾織物に絵をかきて、間毎に張りたり」との引用があります。
現在は季節や人生の節目にあわせた書や花、物などを床の間や玄関、壁、棚の上などに飾り楽しむことを指しているようです。
砂丘館:新潟市中央区西大畑にある元日銀支店長の役宅。
昭和の初年の建築である。
パンフレットによると当時の総工費4万円弱、現在の貨幣価値で4億円程度の豪邸。
現在は新潟市の施設として開放されています。
ここ砂丘館では、季節々の室礼が行われているようです。
今の季節は節分がテーマです。
床の間の飾りを観察します。
漆塗りの器に青豆が盛られ、鰯が突き立っています。
器の脇には柚子があります。
「鬼が嫌いな鰯(臭い)、柚子(香りが邪気をはらう)」と付け書院の解説にありました。
前の写真の鬼の面に添えられた「あたり棒」は山椒の辛味で鬼を払う意味だそうです。
コンクリートで固められた箱に住まう身では、床の間とは縁遠い生活ですが、「室礼」で季節を味わう心のゆとりを持ちたいものだと思います。
別の部屋には「繭玉飾り」がありました。
小正月の縁起物として飾られる繭玉飾りも「室礼」の一種ですね。
新潟の繭玉飾りは、江戸時代、越後獅子の親方が信州を巡業しているときに見かけたものを伝えたものだそうです。
その後小正月の縁起物として農家や商家で飾られるようになりました。
いまでもこの時期、古町の料亭などに上がると飾られているのを見ることができます。
すこし勉強した気持ちになって、砂丘館を辞しました。
斉藤家の羽子板は何処かに飛んでしましましたが・・・。
2011-01-30 10:53
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