原発を拒んだ町(巻町散歩1) [新潟市内散策]
新潟市西蒲区の巻は、以前は西蒲原郡巻町と言いました。
日本海を望む角田山麓に田園地帯が広がる町です。
北国街道沿いの町といっても実感が湧きません。
小泉純一郎が首相就任時の施政方針演説で引用した「米百俵」の話を覚えていますか。
長岡藩へ、その米百俵を送った三根山藩がこの巻町にありました。
かつてこの町に原子力発電所の設置計画がありました。
近時、福島第一原発の地元住民の心情を思う機会が増え、この巻町を訪れてみる気持ちになりました。
巻町は鯛車の町としても知られています。
各家庭には子供の人数だけ、鯛車があり、お盆の時期、これを引いてお墓参りに出たそうです。
町の人に伺った話によれば、昔は夜道に鯛車の明かりが灯の流れのようだったといいます。
(2010年8月1日「千灯まつり」の記事に鯛車を引く子供の写真があります)
そんな、のどかな風物がある町に原発開発の計画があると知れたのは、1969年のことでした。
その後、推進派と反対派が町を二分し、町長が目まぐるしく入れ替わり、住民投票、開発地域の町有地の売却を巡る裁判沙汰などを経て、ついには2004年、電力会社の開発断念で開発計画は終息します。
その間35年の時間の経過がありました。
町の人たちはどんな気持ちで福島第一原発の事故を受けとめたのか、気になるところです。
90%を越える住民投票に当時の町の人の関心の高さを知るとともに、設置反対60%、設置賛成40%の比率に問題の評価の難しさを感じます。
巻には、笹祝酒造、越後鶴亀で知られる上原酒造などの地酒の蔵元があります。
反対派の町長として活躍された笹口孝明氏は笹祝酒造の現社長であります。
敬意を表して、町の酒屋で、買い求めました。
笹祝の「初しぼり」と「竹林爽風」です。
一方、鶴亀の上原酒造の社長、上原誠一郎氏は反原発の立場で、交付金に頼らない町の自立を訴え「巻ビジョン研究会」を主催してきた人であります。
ともに蔵元であるところに、日本酒が自然の農産物と環境に根付いた生産物であることに改めて気づかされます。
笹口酒造については、2009年10月3日の「新潟印」も参照してください。
上原酒造は、2010年5月30日「日本最古の酒」、2011年1月1日「2011年元旦の朝」にも紹介しています。
2011-04-16 22:52
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