鰻の寝床(小澤家住宅その3) [新潟市内散策]
鶴の遊ぶ庭園から母屋を望みます。
前方の屋根の一部に切れ込みがある建物が母屋です。
手前左手の藤棚のある建物は、隣接する敷地を買い増して、増築した「新座敷」と呼ばれる建物です。
屋根の切れ込み部分はかつての「坪庭」です。
坪庭は、間口が狭く、奥行きが深い町屋建築の採光と通風の工夫です。
京都の町屋建築にも見ることができますね。
かつて秀吉が京都を支配した時代、町屋の間口の広さに対して地子銭(税金)を課しました。
それが間口三間(6メートル)という、京都の町屋の表構えを決定づけたといわれます。
(京町屋づくり千年の知恵:山本茂・祥伝社)
間口を狭く、奥行きを深くすることが節税対策として行われたわけですね。
間口の広さに対して課税することが、近世を通じて全国的に行われたようです。
新潟の町屋も奥行きが深く、鰻の寝床となっています。
ただし間口は京都よりは広く、4間の間口となっています。
京都よりは税金が安かったのでしょうか。
お昼近くとなって、暑くなってきました。
日差しを避けて、屋内に移動します。
寝間です。
家族の寝室となります。
母屋にあり、茶の間とともに坪庭に面してます。
菊の間と名付けられています。
障子の向こうには、廊下を隔てて主人の書斎があります。
蝶の間というそうです。
座敷には、菊の間、藤の間、百合の間、梅の間などと、植物の名前が付けられていますが、
主人の書斎のみを蝶の間と名付けたのは何か意味があるのでしょうか。
新座敷、藤の間の床の間です。
天井の照明が明治期の建築を窺がわせます。
藤の間に続く百合の間は接客スペースです。
庭園を望み、三方が廊下で囲まれた座敷は、解放感にあふれ、庭から吹き込む風が心地よい空間でした。
町屋大工棟梁が京の町屋の魅力と見どころを解説する本です。
京 町家づくり千年の知恵―「間口三間」を生かす独自のこしらえ
- 作者: 山本 茂
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2003/12
- メディア: 単行本
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